kakeji’s diary

外資系企業に買収されるか、外人の役員に制圧されそうな会社で、日々静かにいろいろと思っています。誰に語るわけでもなくつづる独り言です。

最近の若者は、なかなかヤル!

まさかのサヨナラ勝ち!

本日は2023年3月21日。WBCの準決勝戦。終始負け試合の匂いがしたが、最後に村上がやってくれた。これまで思うような結果が残せていない事を思うと、さぞ辛かったろう。それを思うと少し泣けてきた。

昨年のサッカーワールドカップでもそうであったが、最近の日本代表は国際試合でビハインドの試合をひっくり返す。ここぞという時に、期待に応えてくれる。これは私の世代では考えられない事だ。

 

私の社会人人生は福岡でスタートした。

「Kakeji君、今日は同行してやるよ」

入社して半年ほどが過ぎたある日、支店長のTさんが声を掛けてきた。新人の私に声を掛けること自体が珍しかったので、何事かと思った。

私の担当エリアは隣県の大分県であった。当時は、福岡都市高速と九州高速がまだ直通でないころ。移動には片道2時間は軽くかかった。Tさんは大好きなタバコを燻らせながら、助手席でくつろいでいた。Tさんの吸い方は独特であった。2口,3口吸うと消し、また新たに火をつける。あっという間に灰皿は一杯になった。

 

「Kakeji、もう半年だな。どうだ、仕事は慣れたか?」

「そうですね。まだ分からない事もありますが、少し自分のペースも出来てきました」

「そうか。けどなんだな。最近の新人たちは皆んな優秀だけど、型にハマっているというか、枠から出ないというか、良くも悪くも真面目だな」

”真面目だな”を、私は”つまらないな”と解釈した。

 

「いえいえ、そんな事ないですよ。私の同期は個性が強いですよ」

「ふ〜ん」

「多分まだ皆んなどこまでやって良いかがつかめてないんですよ。境界線と言いますか。もう少し仕事に慣れてその境界線がつかめたら、暴れ出しますよ!」

Tさんはタバコを消し、ひと息入れ、また新しく火をつけた。

「あのな。その。んー、自分の境界線なんて、探たって絶対にわからないんだよ」

「???。。。えっ?」

「自分が探した境界線というのは、本当の境界線よりズッと手前の安全圏なんだよ。だから、そんなんじゃ永遠に見つからないの。本当に境界線を知りたかったら、その線を越える事だよ。越境ね。要は俺らにボロカス怒られるぐらいのところが、境界線なんだよ。そんなお利口さんの心持ちじゃ、無理だよ」

 

衝撃的だった。すでに自分が枠にハマっていて、失敗を恐れている事に気づいていなかった。何も言い返せなかった。少し間をおいて、心の底から一言だけ「ありがとうございます」と言った。多分、Tさんには伝わった。だから「うん」と一言だけ返ってきた。

 

あれから数十年。結局、私はそんなに怒られない会社人生を過ごしてしまった。要はなかなか型破りになれなかった。未だに境界線に辿り着かない。

Tさんは定年後、愛知県に移り住み今だご健在とお聞きする。試合も見ていただろう。今日のタバコは、さぞ美味かったであろう!